【大事なのは入社倍率ではなく、離職率である】

就職先、あるいは取引先などを選ぶポイントは多々あるが、その一つが離職率の低さ、逆に言えば定着率の高さである。人気企業のバロメーターと言われる入社倍率などではない。

 入社倍率が1000倍という企業がある。なかには倍率1万倍に近い会社も存在するが、離職率が言えわゆる「七五三現象」(職について3年後の離職率のこと。三年後に同じ職場で働いている人の割合が、大卒七割、高卒五割、中卒三割となっているような状況)にある企業は、明らかに問題が多すぎると思われる。

 幸せを求め、せっかく入社してくれた社員が、まるでザルに水を入れたように去っていく企業が、その使命と責任を果たしているとはどう見ても思えない。

 参考にすべきは、離職率が限りなくゼロに近い企業、入社歴が三〇年、四〇年、五〇年どころか六〇年といった社員がごろごろいる企業である。

坂本光司
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