『本社は限りなく小さいほうがよい。本社社員は本社の正当性を示すため、次から次に「管理」というくだらない仕事を創るからだ。』


 経営問題を、工場サイド、経営サイド、研究サイドの問題ととらえ、その改革・改善に取り組む企業が多い。しかし、より大きな問題を抱えているのは本社サイドである。
 工場サイドや営業サイド、研究サイドの問題の多くは、本社がつくりだした問題といえるからだ。その一つが本社のサイズの問題である。私に言わせれば、総じて巨大すぎるのだ。
 ここでいう本社とは、人事、経理、総務、そして情報システムなどの管理部門だが、そこに所属する社員が全社員の一割以上を占めている企業がざらにある。 本社は現場と違い、総じて居心地がいいため「社員が多すぎる」という人など一人もいない。
 このため、自らの忙しさを示そうと、次から次に現場を管理するためのくだらない仕事をつくることになる。現場は、本来、顧客に振り向けるはずの時間を、本社の為に費やしてしまう。
 本社の生産性はもとより、現場の生産性を高めたければ、本社は可能な限り小さいほうがよい。私の経験では、本社要員は全社員の五%以下で十分である。

坂本光司