『多くの日本人は「豊かさの貧困」状態にある。』


ある調査によると、ハンディキャップのある人に電車やバスで席を譲る人は、イギリス人が約六〇%、アメリカ人が約五〇%に対し、日本人は約一八%であるという。

 また世界では、多くの人々が飢えに苦しみ、毎日約三万人の人々が飢えて死んでいるが、日本では毎年三万人の人々が自ら命を絶っている。
 
 戦後の大混乱のなか、欧米先進国をモデルに物的豊かさを追い求めてきた日本人だが、その実現の際に、最も大切な豊かさを忘れ、ないがしろにしてしまった。
 
 最も大切な豊かさとは、心の豊かさ、利他の心をもった生き方のことだ。今、日本人に最も求められているのは、心の豊かさである。
 それをなくして、日本の再生はあり得ない。

坂本光司