経済社会のボーダレス化、グローバル化の進行のなかで、わが国の未来を決する産業は、これまでの中核的産業である工業ではなく、農業である。


 中国やインドなど、アジアの国々の工業の実態を見れば見るほど、工業は間違いなくアジアにシフトすると思えるからだ。わが国に今後とも残る工業は、海外ではどうしてもできない・やれない、新しい価値創造分野に限られるのは必然である。
 では、わが国の未来はどの産業が握っているのか?その重要な一つが、数年前まで衰退の一途であった農業だ。
 アジアの各国を視察すると、世界で最も安全度・安心度の高い、かつ高品質のわが国の農産物に対する人々の関心はことのほか強いことが実感される。
 食糧危機も迫っている。自給率を高め、食の安全を守る一方で、農業を国の産業の柱としていけるかどうかで、この国の将来が決まってくる。

坂本光司