【お客様との良い関係を長く続けたいなら、どんな時でも、どんな場面でも、お客様にとっていちばんよいと思うことを続けなければならない】

お客様との良い関係を続けたいなら、どんな時でもどんな場面でも、お客様にとっていちばんいいと思うことをしてあげることだ。

しかし多くの企業は、とりわけ営業・販売部門のスタッフは自社の側に立ってしまうことが多い。それではお客様だけでなく、できる誠実な社員も失ってしまう。

YさんはX社のA,B,Cという三種類の機械を工場に販売する優秀な営業マンだった。Aという商品の利益率が最も高く、Cという商品は総合メーカーであるX社にとってはついでの商品で、利益率が最も低い。

会社の方針はA商品の優先販売だから、Yさんも積極的にお客様に提案した。
ところが過去一〇年、トップセールスとして高給を得ていたYさんが、ある日突然会社を去った。その理由は「もう嘘を言うことに疲れた」だった。

お客様によっては、Aよりも明らかにCの方がいいケースが多々あった。そればかりか、自社商品ではなく、ライバル企業のD商品の方が、お客様にとっては良いと思われるケースもたびたびあった。

「しかし自分は、そんなことをお客さんに一言も言わず、A商品を売ってきた」。
お客様に寄り添ったYさんがとれる行動は、一つしかなかった。

坂本光司


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