【商圏を決めるのは、企業ではなく顧客である】


元気のない企業の言い訳の一つに、「商圏人口が少なすぎる。交通不便な場所で商圏へのアクセスが悪いからだ」というものがある。それが業績不振の最大理由だというのだ。だが、はたしてそうだろうか?

 たとえば、北海道・札幌市の郊外に小さな名刺店がある。毎月五〇〇人前後の新規顧客が発生しているが、その八〇%は本州、四国、九州、そして沖縄からだという。
 また島根県の石見銀山のふもとに義肢、義足などをつくりつづけている、社員数七〇名の企業がある。いわゆる「商圏」には数百人しか住んでいないが、すでに三〇年以上、好業績が続いている。顧客は遠く北海道や沖縄、そればかりか海外からもわざわざやってくるという

 こうした現実を直視するべきである。

 業績が悪いのは、商圏の悪さ、小ささが理由ではなく、経営の考え方、進め方、とりわけ企業の「社会貢献」にこそ問題があるのだということを知らなければならない。

坂本光司





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