『企業の盛衰は需要の原理ではなく、供給の原理、つまり「有効供給の有無」によって決まる。』

伝統的経済学では、「不況は有効需要の減少によってもたらされる」とある。そのため景気対策として、公共事業の発動による有効需要の創出をしたら、結果として有効需要が発生するよう、預貯金金利の低下を連動させる、公定歩合を下げることになる。

 しかし今や、こうした景気対策が間違っているのは明らかだ。好不況にかかわらず好業績を持続し続けている企業が数多く存在しているという事実が、それを物語っている。

 これらの企業に共通している経営学は、好不況にかかわらず、顧客が喉から手が出るほど欲しくなる感動的商品を創造し、タイムリーに市場に提供している点だ。
 不況という言葉は、経済全体の状況を示すものではなく、個々の企業の業績を示す言葉でしかない。

 今、企業に求められるのは、有効需要に期待する”待ちの経営”ではなく、自らの力で有効供給を創造、提案しようとする強い起業家精神の発揮である。

坂本光司