『異常を基準にすると,正常があたかも異常に見える。異常が長く続くと、異常があたかも正常に見える』


 何が正常で何が異常か、わからなくなってしまうことがある。たとえばバブル期とその前後だ。
 バブル期と比べて、現在の株価や地価、さらには企業業績などを評価して、今日の経済状態を嘆いている関係者がいるが、それは間違いである。あのバブル期の経済こそ、異常だったからだ。

 また、一時的な異常は自然の摂理により短期間で終息するのが普通だが、ときどき想像を絶するほど長く、異常が続くことがある。
 そのため、多くの人々は異常を正常と見なし、それをモノサシとして生きることを考えるがそれも間違いだ。
 「山高ければ谷深し」ということわざ通り、ラッキーな異常が長く続いた場合、その、”ラッキーな異常”を正常にするための”つらい正常”も同じくらいの長さだけ続くのだ。


坂本光司


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