『行政のやりすぎは、経営者や社員のやる気をそぐ。』



近年、中小企業が総じて弱体化しているのは、不況やボーダレス社会、グローバル社会の進行などのせいだけではない。中小企業自身の起業家精神の衰えが大きい。

 というのは、起業家精神が健在の企業は、好不況を問わず、好業績を持続しているからだ。中小企業の起業家精神が衰えてしまったのは、なぜなのか?
 「豊かさの貧困」の結果現象も、理由の一つに挙げられるかもしれない。ただもう一つの大きな理由は。行政の過度な規制や過剰なサービスが、結果として中小企業の起業家精神を抑えてしまったことである。
 本来、企業自身、または企業に属する社員自身がやるべきことを行政が代行したり、民間サービスがすでに十分に機能しているにもかかわらず、行政が民間と競争、圧迫するような大盤振る舞い的政策を実施してきたからだ。
 こうした過剰サービスの提供により、本来中小企業やその社員が自分で努力をしなければならない価値を、簡単に手に入れることができる状態にしてしまった。
 肝心なのは、行政は、真の弱者の支援や基盤整備時の激変緩和策を除き、可能な限り何もやらないことである。

坂本光司