26 どんな難題に当たってもその場で決断を下すクセ



 ニコン・エシロールの社長時代、フランスのエシロール本社での全体会議のために渡仏していた時の話です。会議の前日、真夜中の3時頃に東京から電話が。


 「問屋さんが倒産した」という内容です。このままでは売掛金が回収できなくなるだけでなく、流通がストップして商品が小売店に流れなくなってしまいます。


 私は同行していた幹部社員全員を叩き起こして、対応策を決めました。
3時半にはその内容を東京に伝え、同行幹部のうち2名を朝一番の飛行機で帰国させ、陣頭指揮に当たらせることにしたのです。

 いま考えても、この時の私の決断が正解だったとは自信を持って言えません。
 しかしこの30分で決断を下し、行動し始めたことだけは大正解だったと思います。最悪、10日間はストップすると思われた小売店への配送を、1日も止めずに済んだわけですから。

 正解を出すのも重要ですが、正解を出す間にも状況が刻一刻と変化するのがビジネス。愚策でも結論を出すことがビジネスでは有利に働くケースが多いのです。


長谷川和廣